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宇宙ツツジ
更新日:2020年12月25日
宇宙ツツジについて
宇宙ツツジ(登録商標)
スペースシャトルで宇宙飛行をする際に、NASAのはからいで宇宙飛行士には、いくつかの品を飛行の記念品として持ち込むことが許されています。
向井千秋さんならびに宇宙開発事業団(現JAXA(宇宙航空研究開発機構))のご配慮により、公式飛行記念品として館林に関係したものを宇宙へ持っていっていただけることになりました。
公式飛行記念品はスペースシャトル内、乗組員居住区の一角に収納されるため、大きさ・重さ等に制限があり、また、乗組員に害をおよぼす可能性のあるもの、生もの・商業目的のものなどは当然の事ながら許可されません。NASAの過去の例としては、旗・ペナント・写真・メダルなどがスペースシャトルに搭載されています。
館林市では種々検討した結果、向井さんの初飛行(平成6年)の記念品として館林市旗(薄地特製品)と、館林の市の花でもあり館林を象徴するツツジの搭載を依頼することにしました。
ツツジについては、スペースシャトルの中で花を咲かせられないかとの案もありましたが、通関・検疫の難しさや打上げ数ヶ月前からパッケージ詰めされてしまい管理ができないことなどから、株での持ち込みは無理と判明しました。しかし調整検討の結果、種子であれば通関・検疫を解決できそうなこと、管理が容易なこと、かさばらないこと、なにより宇宙から帰ってきたあと発芽成長させ未来へ夢を続かせることができることなどから、ツツジの種子を搭載品として最終決定しました。
種子は県立つつじが岡公園の下記古木、3本より飛行の前年に採取しました。
- ヤマツツジ 推定樹齢 500年
- アズマニシキ 推定樹齢 100年
- ベニキリシマ 推定樹齢 100年
搭載された種子重量は下記のとおり
- ヤマツツジ 約21g
- アズマニシキ 約 3g
- ベニキリシマ 約 4g
いずれも透明ビニール袋に密封、それをさらにプラスチックケースに入れました。
ツツジの種子は1個1ミリメートルにも満たない、ゴマ粒よりも小さなもの。種子の個数は不明です。
向井さんと種子の宇宙飛行期間等は下記のとおり
- 打上げ:平成6年7月9日(日本時間)
- 着陸:平成6年7月23日(日本時間)
- 飛行期間:14日17時間55分
- スペースシャトル名称:「コロンビア」
- 打上げ、着陸場所:アメリカ・フロリダ州 ケネディ宇宙センター
宇宙飛行を終えたツツジの種子は、同年9月12日、館林でおこなわれた「ふるさと歓迎会」の席上で、向井さんから市旗とともに市へ返還されました。
直ちに、東京大学理学部付属植物園、筑波大学、群馬県園芸試験場、市つつじ研究事務所、当館で播種、育成が進められました。
その後、順調に育成が進み、早いものでは平成8年から9年頃から開花が始まりました。
宇宙へ行ったことによる突然変異があるのか興味が持たれましたが、花の色・形などに直接的な変化は認められていません。これは搭載が宇宙飛行士の居住区内であり宇宙線の影響を受けにくかったことなどによると思われます。
市では向井さんの偉業をたたえ「つつじのまち・館林」のイメージアップをはかるため平成10年に「宇宙ツツジ」などの商標登録を出願、平成11年、正式に承認されました。
現在では、つつじが岡公園内に「宇宙ツツジ園」が整備され、毎年多くの花を咲かせています。